お金がないのに犬を飼う！？その前に必ず知るべき現実とは？

ペットブームが続き、SNSや動画サイトでは、可愛い犬たちの姿を目にする機会が本当に増えました。

「かわいいなあ」「自分も犬と暮らしてみたいなあ」――そんな風に心が動くのは、とても自然なことだと思います。

特に動画では、犬たちの愛らしい一面が巧みに切り取られているため、その姿に夢中になり、「私もこんな暮らしがしたい」と憧れを抱く方も多いでしょう。

しかし、その輝いて見える瞬間の裏側には、日々の地道な世話と、生涯にわたる重い責任が存在します。

もしあなたが、その憧れと現実の間で悩みながら、インターネットで「お金がないのに犬を飼う」と検索し、このページに辿り着いたのなら。

どうか、行動に移す前にこの記事を読んでみてください。

これは、あなたの純粋な気持ちと、未来の家族になるかもしれない小さな命を守るための、とても大切な話です。

お金がないのに犬を飼う！？その前に考えるべきこと

犬を飼うのに必要な年収は？

犬の飼育に必要な年収はいくらくらいかというのをネットで調べてみると、多くの場合、３００万円ほどあると安定するとの情報でまとまっているようです。

ただ、飼い主の生活費や住宅費などは地域によって若干の差がある為、生活費を安く抑えられる地域や住宅費があまり掛からない地域ならばこれよりも低い年収でも問題なく飼えるかもしれません。

逆に都内など物価の高い地域の場合は３００万円あってもギリギリになったり、足りなくなってしまう地域もあるかもしれないので、自分の住む地域に見合った出費＋犬の飼育費用で考えるといいでしょう。

尚、犬のサイズ別の年間飼育費用は概ね以下のようになっているようです。

犬のサイズ	飼育費用
小型犬	１２～２４万円
中型犬	１８～３０万円
大型犬	１８～３６万円

お金がかかる犬ランキング

では、どんな犬種がお金がかかるのでしょうか？

ネット上には『お金がかかる犬ランキング』なるものがあるのですが、見るサイトによって順位が若干異なる為、どれが正しいのかは解らないものの、ランキング上位にくる犬種にはある程度の偏りがあるようです。

以下はその暫定的なトップ５です。

１位『ラブラドール・レトリバー』

大型犬種はどれも沢山餌を食べ、飼育のための環境構築にも相応のお金がかかるのですが、中でも最もお金がかかると言われているのがこのラブラドール・レトリーバー。

大型犬種の中では比較的人気の犬種でもありますが、医療費が犬全体の平均の倍以上かかるケースもあるようで、これがランキング上位へ押し上げる要因になっているようです。

２位『ゴールデン・レトリバー』

ラブラドールと並んで大型犬種として特にお金がかかるのがこちら。

とにかくよく食べよく遊ぶため、食費や遊ぶ空間を作るための費用に特にお金がかかるようです。

特に犬全体の倍以上食べるとされており、その旺盛な食欲を満たしてあげる為には、相応の覚悟が必要なようです。

３位『パグ』

小型犬のパグは上の大型犬二種と比べ、食べる量も少なく、遊ぶための環境構築にもそれほどお金がかかりません。

しかし、心臓の弱さから来る診療費と、体温調節が苦手な点から衣服を着る必要などが生じて、その分費用が掛かるようです。

４位『フレンチ・ブルドッグ』

こちらもパグ同様、医療回りと衣服にお金がかかる犬種のようです。

心臓のみならず呼吸器も弱い傾向が多い犬種の為、定期的な医者通いを続ける必要があるようです。

また、比較的エサ代も掛かる為、そちらも順位を押し上げる要因になっている模様。

５位『キャバリア・キングチャールズ・スパ二エル』

イギリス産のこの小型犬種は、日本では『キャバリア』と略して呼ばれることも多いですが、実は小型犬の中でもパグやフレンチ・ブルドッグと並んで医療費の多くかかる犬種で、それが順位を押し上げているようです。

被毛なども長めなためトリミングにもお金がかかるようですね。

……と、このように、お金のかかる犬種の、お金のかかる理由は様々ではありますが、大型犬も小型犬もあって中型犬は何故ないのかを考えると、犬としては中型が自然なサイズで、それが故に安定していて医療費がそこまで掛からないないから、といった辺りが理由になるのではないかな、と推測します。

尚、これらのランキングにはその犬種の購入費用は含まれていません。

購入費が安くとも百万、高ければ億越えする事すらあるチベタンマスティフなどは、これ単体でランキングを破壊してしまいかねない為、購入費はランキングの内訳からは除外しています。

診療費がかかるのはどの犬種？

では、医療費の特にかかる犬種は何があるのか？

上で紹介した『ラブラドールレトリバー』『パグ』『フレンチブルドッグ』『キャバリア・キングチャールズ・スパ二エル』のほかにも、超小型犬種『カニンヘン・ダックスフント』なども上位に食い込んでくるようです。

やはり、人の都合に合わせサイズの大小を繰り返し続けた弊害が、これらの犬種を飼う際の診療費という形で大きくなっているようです。

初期費用や継続費の負担を知ろう

犬は、買うために必要な購入費用のほかにも、以下のような初期費用や継続費用が必要になってきます。

飼育スペース確保の為の費用

初期費用としてまず真っ先に必要になるのがこちら。

室内飼い、かつ飼い主と同一のスペースで生活するとしても、犬種によっては飼育スペースと区別するための仕切りや犬用のケージ、犬用のベッドなどが必要になるケースもあります。

特に人との同居に不慣れな初期の頃には、人と分ける事で飼い犬自身のストレス軽減や安全性の確保、犬自身と飼い主や家族との区別などがされる為、意外とお金がかかる事もあるのです。

運動や遊ぶためのスペース確保や玩具、散歩用品の為の費用

遊興スペースに関しては、大型犬種などで初期費用として必要になるケースがあります。

近場に犬を放せるようなドッグランや公園があれば必要ないかもしれませんが、そうでない場合、飼い犬の運動やストレス解消のためにも、思い切り遊べるだけの広大なスペースの確保が必要になる事もあります。

恐らく飼育スペースの確保よりもこちらの方が後付けでは難しい為、庭付きの戸建て以外だと街中での大型犬飼育を断念されるケースも多いのではないでしょうか。

それ以外の犬種でも、遊ぶ際に使う玩具の購入費用はある程度かかりますが、こちらは自作したり、身近なもので代用する事も可能ですので、手先が器用な方ならある程度出費を抑えられるかもしれません。

散歩に使う首輪やリードは必須品ですので、こちらは必ず購入しておく必要があります。

各種ワクチン接種や診察など病院周りの費用

飼い犬の健康維持は飼い主の義務であり、飼う段階でまず狂犬病のワクチン接種が義務付けられています。

そして、これは最初だけでなく継続的に続けなければならないものです。

その他、健康維持のために必要な定期的な診察や、病気や怪我になった際の治療費など、飼育する前の想定よりお金がかかるシーンが発生しやすいのが病院周りの費用です。

特に上記の『診療費のかかりやすい犬種』は犬全体の平均よりも高くなりがちですので、万が一のために、常に手持ち金には余裕を持って生活する事が求められます。

餌代や消耗品など日常的にかかる費用

日常的に飼い犬の食事に掛かる餌代は、地味に犬種による差異が大きい出費ポイントです。

大型犬は特によく食べる犬種が多いためこれが掛かりやすいですが、犬自身の体調や年齢によって食べるものを考える必要があるため、比較的小食な小型犬種であっても安くなるとは限らないのが予見しにくいポイントです。

その他おやつや健康維持のために食べさせる栄養剤、ペット用シャンプー、飼育スペースの清掃用品など、日常的に使う消耗品の費用も積み重なると馬鹿にできない金額になって来る為、注意が必要です。

ペットサロンや服など犬の見た目維持のための費用

プードルやマルチーズ、ヨークシャーテリアなど、被毛の長い一部犬種では必須とも言えるトリミングは、個人ではある程度知識や慣れが必要になるので、基本的にはペットサロンを利用する事になる為、継続的にお金がかかります。

トリミングが不要な犬種もあるので、こういった費用を抑えたくて、犬種にこだわりがないという方は、どの犬種ならばトリミングが不要かを調べる事で、こちらを抑える事ができるかもしれません。

また、パグなど寒暖の変化に弱い犬種には犬用の服などを用意する必要が発生する場合があります。

こちらも、犬種によって要不要が分かれるため、事前に調べてみる事で避けられるかもしれません。

支援や制度でも限界がある理由

地域によっては犬の飼育周りのＮＰＯ法人や後援団体などが存在し、ボランティアによる支援もありますが、それでも限界はあります。

これらの組織は、あくまで「どうしようもなくなった時に寄りかかれる場所」であって、１から１０まで全て任せきりにしていい存在ではないのです。

支援してもらえる範囲にも限度があり、本当にやむを得ず必要になった人だけに利用してもらう為、組織によっては「この人は手を貸すべきか否か」を審査した上で支援するかを決める事もあります。

飼育前の段階でこれらを活用する前提で考えるようなら、まず飼育に無理がかかるのは解り切っているので、飼育は諦めるべきでしょう。

お金がないのに犬を飼うことのリスクとは

お金に余裕がないにも関わらず犬を飼おうと考える事に、どれほどのリスクがあるのか、それを知ることによって、無茶な飼育から始まる飼い主自身の負担増を避ける事にもつながります。

ご自身のためにも必要な事ですので、是非ご一読を。

お金がかからない犬ランキングの落とし穴

インターネット上には「お金のかからない犬種ランキング」といった情報サイトが存在します。

しかし、その情報を安易に信じるのは危険かもしれません。

なぜなら、こうしたランキングには、いくつか注意すべき「落とし穴」があるからです。

以下で、よくある落とし穴の例をご紹介します。

お金はかからないが性格的に難点があるケース

例えば『ジャック・ラッセル・テリア』という犬種はこういう話題で名前があがりやすい犬種です。

非常に賢いのですが、同時に闘争心も強く持ち合わせています。

そのため、しっかり躾をしないと、飼い主が驚くほど反抗的な態度を見せることもあります。

こうした理由から、温厚な犬種に比べて扱いは格段に難しく、初心者の方にはおすすめしにくい犬種と言えるでしょう。

お金はかからないが、日常的な手間が非常にかかるケース

これは、主に短毛種でよく見られるケースです。

トリミング費用がかからない点はメリットですが、その代わりに抜け毛が非常に多いことがあります。

そのため、こまめなブラッシングや定期的なシャンプーが必須となり、日々のお手入れに多大な時間がかかってしまうのです。

また、犬種によっては、散歩や遊びに多くの時間を必要とする場合もあります。

こうした時間の負担は、いわゆる「タイムパフォーマンスの悪さ」に繋がり、結果的に飼い主自身の余裕を奪う原因になりかねません。

お金はかからないが、長時間家を離れられないケース

『ミニチュアダックスフント』など、一部の犬種は飼い主と長時間離れると精神的に不安定になる「分離不安」という状態を引き起こすことがあります。

ある程度の訓練で克服は可能ですが、それでも犬自身のストレスになることは避けられません。

そのため、こうした犬種を飼う場合は、長時間の外出や頻繁な外出を控える必要が出てきます。

飼い犬中心の生活が苦にならない方なら問題ありません。

しかし、仕事などで帰宅が遅くなりがちな方にとっては、飼育が困難になるという落とし穴があります。

食費と医療費が、家計を圧迫する厳しい現実

毎日の食費は、小さな出費に見えても年間で計算すると数万〜十数万円という大きな金額になります。

これは飼い主である限り、ずっとかかり続ける費用です。

さらに深刻なのが、突発的に発生する医療費です。

ペットには公的な健康保険がないため、治療費は全額自己負担となります。

定期的なワクチンや健康診断に加え、突然の病気やケガで手術が必要になれば、一度に数十万円の出費が発生することも決して珍しくありません。

「ギリギリなんとかなるだろう」という安易な見通しで飼い始めると、愛犬に必要な治療を受けさせられず、飼い主自身も経済的に破綻しかねません。

それは、犬と飼い主の双方にとっての悲劇です。

予想外の出費が、飼育放棄の引き金になることも

飼育にかかる予想外の出費は、医療費だけではありません。

他には下記のようなケースが考えられます。

• 他人への損害賠償
  愛犬が通行人に噛みついたり、転倒させてケガをさせてしまったりした場合、治療費や慰謝料などを支払う必要があります。裁判になれば、さらに費用は膨らみます。
• ペットホテルなどの利用料
  長期の旅行や出張の際、預け先がなければペットホテルなどを利用することになります。滞在が長引けば、この費用も決して安くはありません。
• 引っ越しに伴う追加費用
  転勤などで引っ越す際には、ペット可の物件を探さなければなりません。通常の物件より家賃が高かったり、追加の敷金が必要になったりすることがあります。

このように、予期せぬ出費が突然重なることで飼育の継続が困難になり、最悪の場合、飼育放棄に至ってしまうケースも少なくないのです。

安易な飼育が犬にも悪影響を与える

「そんなにお金はかけなくても犬は飼える」という一部の無責任な意見を信じ、軽い気持ちで犬を迎え入れてしまうのは大変危険です。

飼い主の「安易さ」は、犬にとっては多大なストレスに他なりません。

不十分な食事、必要な医療の我慢、コミュニケーション不足。

これらはすべて犬の心と体を蝕み、不幸な飼育環境そのものとなります。

特に最近は、配信やSNSの華やかな一面だけを見て「私も」と考えてしまうケースが増えています。

しかし、その画面の向こうの犬が本当に幸せなのか、今一度立ち止まって考えるべきです。

責任を持てないなら飼うべきではない

犬を飼うとは、その命のすべてに責任を負うということです。それは決して楽な道ではありません。

食事、健康、しつけ、環境。そのどれ一つとして、「お金がない」を理由に手を抜くことは許されません。

不適切な飼育は、単なる怠慢ではなく「動物虐待」です。周囲からそう判断され、行政に通報されるリスクも現実に存在します。

結論は一つです。

一つの『命』を預かること、そのためにお金をかけることを一瞬でもためらうのなら、犬を飼うべきではありません。

まとめ：お金がないのに犬を飼うことについて

最後に、ここまでの情報をまとめたいと思います。

• 犬の安定した飼育には年収300万円が一つの目安である
• 犬の大きさによって年間飼育費は異なり、大型犬では30万円を超えることもある
• 大型犬は食費、一部の小型犬は医療費が高額になりやすい傾向がある
• ラブラドールやパグなどは、特にお金がかかりやすい犬種として知られている
• 人間の都合による品種改良が、高額な医療費の一因となっている
• 迎えた直後には、ケージや仕切りなど飼育スペース確保のための初期費用が必要
• 食費やシャンプーといった消耗品代も、積み重なると大きな負担となる
• 長毛種には定期的なトリミング費用が、寒さに弱い犬種には衣服代が必須
• 支援団体は緊急時のためのもので、最初から頼る前提での飼育は無責任である
• お金がかからないとされる犬種でも、気性が荒くしつけが難しい場合がある
• トリミング不要の短毛種は、抜け毛の多さから日々の手間に多大な時間がかかる
• 分離不安になりやすい犬種は、飼い主が長時間家を離れられないという制約を生む
• ペットに公的保険はなく、医療費は全額自己負担で時に数十万円に及ぶ
• 他人への損害賠償や引っ越しなど、医療費以外の想定外の出費も覚悟すべき
• 命を預かる以上、「お金がない」は言い訳にならず、安易な飼育は虐待にあたる

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

「犬と暮らしたい」というあなたの素敵な夢を、後悔に変えないために、この記事はあります。

今はまだ、その時ではないかもしれません。

でも、将来愛犬を幸せにするための「準備期間」だと考えれば、未来はもっと楽しみになります。

経済的な安定は、その愛情を形にするための大切な土台です。

あなたの真剣な気持ちと、しっかりとした準備が、いつか最高のパートナーとの出会いを引き寄せてくれるはずです。

その日を、心から応援しています。

※記事内の画像はイメージです。