柴犬がしっぽ振らないのは普通？その特徴を徹底解説！

柴犬は、その愛らしい巻きしっぽと忠実な性格で多くの人々に愛されています。

しかし、「柴犬がしっぽを振らない」という現象に戸惑う飼い主も少なくありません。

実際、柴犬がしっぽを振らない理由にはさまざまな要因があり、その背景には柴犬特有の特徴や性格が関係しています。

本記事では、柴犬がしっぽを振らない理由やその特徴について詳しく解説し、飼い主として知っておきたいケア方法や健康管理のポイントも紹介します。

柴犬のしっぽに関する疑問を解消し、愛犬とのコミュニケーションをより深めるための情報をお届けします。

柴犬がしっぽを振らないのは普通？

結論から言いますと、柴犬によっても個体差があります。

子供の頃はふんだんに尻尾を振っていても、大人になるにつれて振らなくなる、という子もいるようで、この辺りははっきりと分かれているわけではないようです。

ですので、振らないのが普通かと言うと、「そういう子がいてもおかしくない」くらいのようですね。

振ってはいるけれど他の犬種ほど目立たない、という事もある為、気づきにくいのかもしれません。

以下、柴犬のしっぽの特徴と、他の犬種との違いを簡単に紹介したいと思います。

柴犬のしっぽの特徴

何と言っても柴犬の特徴としてあげられるのは「巻きしっぽ」。

尻尾をぐるんと巻いている姿は、日本では珍しくありませんが、海外ではまだ珍しいようで、「キュートだ」と喜ばれることも多いようですね。

巻き方にも特徴がいくつかあるようですので、ここで紹介したいと思います。

右巻き／左巻き

巻きしっぽの中でもしっぽが左右どちらかに偏って巻かれているタイプ。

右二重巻き／左二重巻き

こちらはしっぽが二重になって巻かれているタイプ。これも左右に偏っているようです。

車巻き

こちらは背骨にそってまっすぐ巻かれているタイプ。

半巻き

完全な丸に届かず、尻尾の先端が身体から離れているタイプ。

差尾／半差尾

巻かれてはおらず、緩くカーブを描き、先端が宙に浮いているタイプ。半差尾は差尾と半巻きの中間くらいの形状。

太刀尾

巻きがなく、ぴん、とまっすぐに立っているタイプ。柴犬としては珍しいタイプのようです。

番外編：しっぽ置き場

しっぽの形状とはあまり関係ありませんが、巻きしっぽの場合、「しっぽ置き場」なるものが柴犬には備わっているようです。

しっぽ置き場とは柴犬の巻かれたしっぽが置かれている、柴犬の背骨～尻骨辺りのくぼみの事を指すようで、これを誰かが「しっぽの置き場だ」と呼んだことからこのように呼ばれるようになったようですね。

普段はしっぽがある為見られませんが、何かの拍子にしっぽがどいた時に見られる珍しいものと言う事で、コアな柴犬好きが好んで写真に納めているようです。

他の犬種との違い

外見的な特徴としてはやはり尻尾が挙げられますが、それ以外にも、赤毛／黒毛／双方入り混じったゴマ毛の三種の毛色がいる点です。

また、かつては狩猟犬・番犬であった事から小柄な体でいて勇敢な性格である点。

その他、飼い主やその家族には忠実な一方、家族以外の者にはあまり愛想がよくない。

運動を好むことから散歩や遊びが大好きな点などが柴犬の特徴として挙げられます。

柴犬がしっぽを振らない理由

では、柴犬がしっぽを振らない理由は何なのでしょうか？

ここでは、その理由として考えられるものを挙げてみました。

しっぽの形状と動きの制約

柴犬の綺麗に巻かれたしっぽは、その形状故、他の犬種と比べ大きく振るのにはあまり向いているとは言えません。

その為、形状的な都合で動きに制約があり、他の犬種ほど振られない、というもの。

ただ、筋肉がないから振れないという訳ではなく、むしろ巻かれることで筋肉が発達している証拠になるようですので、振れないというよりは、犬自身が疲れるから振らないだけなのかもしれません。

柴犬の性格と行動特性

上の見出しでも簡単に紹介しましたが、柴犬は、かつては狩猟犬・番犬として飼われていた犬種ですので、外飼いされ、愛すべきペットというよりはより厳格に主従の関係として人間と接してきた犬種と言えます。

このため、室内飼いが長く続いた他の犬種と比べ、人間に対し愛想をよくする必要性が薄くなり、与えられた役目を全うできるよう、敵と味方の区別を自身で判別できるようになっていったものと思われます。

このような経緯から、勿論個体差はありますが、主には柴犬は主人とそのごく親しい身内にのみ懐いたり、主人にだけ忠誠を尽くす、といった性質を持ち、あまり多くの人には媚を売らない、クールな性格の柴犬も多いようです。

子供の頃は好奇心からしっぽを振ることも多いかもしれませんが、大人になるにつれ、些細な事では動じない、狩猟犬・番犬としての性質が表に出てくる事によってこうなる、という面もあるようですね。

二重巻きの柴犬はしっぽを振らない？

「うちの二重巻きの子は全然しっぽを振ってくれないの！」というお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

確かに二重巻きの子は、普通の巻きの子よりもより巻きが深く、しっぽが振りにくそうです。

とはいえ、柴犬も全くしっぽを振らない訳ではなく、大きく感情が動いた時に振る、というもので、上記にもあるように、クールな性格の子ほど些細な事では動じず、結果しっぽが動かない、という事なのかもしれません。

柴犬がしっぽを振らないことと感情の関係

柴犬も犬である以上、そのしっぽの動きは感情とある程度関連があるもの。

ここでは、その感情の動きについて簡単に紹介していきたいと思います。

しっぽ以外の感情表現方法

よくある犬の感情表現として、しっぽの動きを見る方は多いですが、実際には犬にはしっぽ以外にも、表情や身体の動き、耳の形などで感情が表現されることも多く、しっぽの動きだけで判別すると間違えてしまう事も多いようです。

例えば、来客があってしっぽを大きく振っているからと喜んでいるかと思ったら、実際には表情は牙をむき出しにしていて、警戒しているだけだった、という事もあるのです。

表情や身体の動きで読む感情

柴犬は小型犬の中では比較的表情豊かで、人間から見てもぱっと見で表情が解りやすい犬種であると言われています。

表情や動きから、どのような感情が読み取れるのか、簡単に紹介しましょう。

表情

柴犬はとても素直に表情に出る犬種で、嬉しい時は人間のように口角を吊り上げ笑みを見せてくれます。

これは起きているときに限らず、眠っている時もそのようになる事から、柴犬が体得した主人（人間）に似せた表情であると言えるでしょう。

反面、怒りや警戒を示す際には犬歯を見せて睨みつけてきます。

こういった表情を見せた時は、無理に構うと嫌われてしまうかも？

リラックスしているときは、目を細めぼーっとした表情をしているのもとても人間くさいですし、悲しい時はしょんぼりと眉を下げ落ち込みます。

耳の形

耳は表情やしっぽ同様柴犬の感情表現部位として解りやすい部分です。

柴犬の場合、耳を横に倒す仕草は喜びや強い歓喜などを示し、前向きは緊張を示し、前に倒すことで敵意・警戒を示し、後ろに倒れることで恐怖を示します。

ただし、緊張に関しては楽しいことに対しての緊張感などポジティブなものも含めてなので、前に向けたからと敵に対し緊張しているとは限らない模様。

この中で特に気を付けないといけないのは、散歩の際などに見せる敵意・警戒の仕草。

警戒心の強い柴犬は、家の外で触れ合いの少ない他の犬や人間に対し強く警戒することもある為、耳がこの形状になっていたら、無理に他の犬連れの方と交流しようとしたりせず、距離を置き、落ち着かせてあげるといいでしょう。

しっぽの動き

しっぽも、ただ振れば喜びを示すというものではないらしく、イタリアの研究グループの研究結果では、好ましい人物やモノに対しては右寄りに、好ましくない相手やモノに対しては左寄りに振る傾向があったようです。

誤解されがちですが、しっぽを振るというのは犬にとってはただ嬉しいという感情を示すのではなく、何かしらの感情が大きく動いた時に振られるもの、という認識を持った方がいいでしょう。

また、しっぽが垂れさがっていた場合は精神的・肉体的にネガティヴな状態にある事が多い為、飼い主による早急な原因の究明とケアが必要になる場合もあります。

いたずらをして怒られた場合などにもこうなるので、怒った後に尻尾を下げていたら怒られてしゅんとしている、と解ってあげてくださいね。

柴犬のしっぽが垂れ下がっているときのリラックス方法は？

実際に飼っている柴犬のしっぽが垂れ下がっている場合は、原因が解っているならそれに沿った対処をしてあげましょう。

怒られた後で落ち込んでいるようなら撫でてあげる、遊んであげるなどのケアで立ち直るでしょうし、体調不良から来るものなら獣医に見せるなどで改善されることもあります。

また、家族以外の他人や他の犬が多くいる環境だと不安がってしまう子もいますので、そういった場合には落ち着いた、他人や他の犬が居ない場所に速やかに移動してあげることでリラックスさせてあげることができるかもしれません。

柴犬は他の犬となれ合う事を嫌う子も結構いるので、そういった傾向が見られたなら無理に交流の場などに連れていかず、そっとしておいてあげるのも大切です。

柴犬がしっぽを振らない事は健康に影響する？

愛犬がしっぽを振らずにいるというのは、飼い主さんにとっては心配事になるようで、「もしやうちの子は病気なのでは？」と気になってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

ここではそんな飼い主さんの懸念を減らせるよう、健康を測るチェックポイントを用意しました。

健康チェックポイント

１．食欲がない

食べる量が普段より少なくなっていたり、おやつなど好きな物しか食べなくなってきたら注意が必要です。

２．体型が変わってきた

妊娠している訳でもないのにお腹が膨れてきたり、逆に痩せすぎてしまったり、しこりができてきたら注意が必要です。

３．歩き方に何らか異常がみられる

歩くのが辛そうにしていたり、走れなくなっていたり、足を引きずっていたり、片一方だけに寄ってしまうようになっていたりといった行動はないか注意しましょう。

４．排便時に異常がみられる

下痢・血便・タール状の便などであったり、排便をしにくくなっていたり、できなくなっている場合は注意が必要です。

５．小便時に異常が見られる

色が普段よりもおかしな色をしていたり、においがきつすぎたり、量が出なかったり、そもそも出ないといった場合には注意が必要です。

６．目に異常が見られる

目ヤニが多い、目が充血している、角膜が濁っている、眩しそうにしているなどの様子が見られたら注意が必要です。

７．耳に異常がみられる

耳を痒がったり、頻繁に掻こうとしたり、耳の中が臭うようになっていたら注意が必要です。

８．皮膚に異常がみられる

部分的な脱毛や抜け毛の時期でもないのにごっそりと毛が抜ける、皮膚がただれている、フケが多い、頻繁に体を掻くなどの様子が見られた場合は注意が必要です。

※もしこれらの症状が見られた場合、飼い主さんが自身で対処するのではなく、動物病院に連れて行き、専門家によって対処するようにしましょう。

しっぽの異常が示す健康問題

人間同様、柴犬も体調を崩すとテンションが下がり、しっぽが垂れるというネガティヴな感情表現をするようになります。

このため、しっぽがいつまでも垂れていて戻る様子がなかったなら、体調不良を疑って一度獣医の方に見てもらう事をお勧めします。

他の犬種以上に、いつもと違うしっぽの形状なら何かがあったと解るのは、柴犬のいいところだと思いますので、飼い主さんはしっかり気づいてあげましょうね。

また、ノミやダニなどの被害に遭っている際に、しっぽを頻繁に噛む、という動作が見られることもありますので、こちらの場合も、獣医の方に見せることで対処してあげましょう。

柴犬のしっぽのケア方法

ここではその柴犬の素敵なしっぽのケア方法を紹介したいと思います。

ペットの健康維持にはケアも大切ですから、しっかり覚えていってくださいね！

日常的なしっぽのケア

シャンプー

柴犬は比較的肌が弱い犬種で、室内飼いとはいえ頻繁にシャワーやシャンプー洗いをしてあげる必要はありません。

シャンプーは月に一度、暑い時期ならば月に二度くらいに留め、する際は鼻水や咳などの症状が見られないか確認し、もし見られたら無理にせず柴犬の体調が回復するまで日を改めましょう。

洗う前には肛門腺を絞っておくのをお忘れなく。

肌が弱い為、身体が濡れたままでいると問題を起こしやすいので、洗った後は毛だけでなく皮膚までしっかりと乾かしてあげてください。

日常的な汚れが気になる場合は、お散歩の後によく絞った濡れタオルで拭いてあげることで、ある程度の清潔さを保つことができるようになりますので、お勧めですよ。

グルーミング

柴犬は、グルーミングという、毛づくろいを頻繁にやってあげた方がいい犬種に属している為、ブラッシングによって適時抜け毛を取り除いてあげて、清潔に保ってあげることが肝要です。

柴犬は肌が弱い為、ブラッシングであっても長時間、頻繁に繰り返すことは肌や毛を痛める原因となりかねませんので、短時間に留めておきましょう。

シャンプーの前にブラッシングをしてあげることで、シャンプーの際の効果がより高くなる為、お風呂前には是非ブラッシングを。

しっぽをブラッシングする際には、手で伸ばした状態でブラッシングしてあげるのが大切です。

毛を縦に左右に分け、付け根から先端に向けて、表裏をしっかりブラッシングしてあげましょう。

健康維持のためのケア用品

スリッカーブラシ

抜け毛の多い柴犬の毛を取り除くのに適したブラシ。

その他散歩中についたノミやダニ、ゴミ、絡まった毛などを取り除くのにも向いている。

ピンブラシ

皮膚への刺激が抑えめなブラシ。

手首を回すように滑らせ使いましょう。

コーム

仕上げに使う、毛並みを整える為のペット用の櫛。

尻尾を振らない柴犬とのコミュニケーション

しっぽで感情をあまり見せてくれない柴犬ですが、どのようにコミュニケーションを取ればいいのでしょうか？

ここではそれを簡単に紹介したいと思います。

柴犬の感情を理解する方法

まず、柴犬も犬である以上、様々な感情を持っていることを理解しましょう。

上の『柴犬がしっぽを振らない事と感情の関係』を読めばより理解が深まると思いますが、心配な方は獣医さんなど専門家に相談する事でも、柴犬の感情を理解することにつながると思います。

遊びやトレーニングを通じた絆づくり

柴犬に限りませんが、愛犬との絆というのは一日二日で結ばれるようなものではなく、引き取った時から現在までの共に過ごした時間や、コミュニケーション量の濃淡、主従関係の適切な理解の有無によっても大きく変わってきます。

いかに主人に対し忠義を尽くす性質の強い柴犬であっても、雑な飼われ方をすれば飼い主に反感を抱くこともありますし、きちんとしつけをされていなければ、公然と飼い主に歯向かい噛みつく事すらあるのです。

こういった事を避けるためにも、日頃から遊ぶ事で柴犬から好ましい人物であると認識させ、その上でトレーニングを通じて「この人は主人だ」と柴犬自身に認識させることも大事なのです。

飼い主と柴犬の信頼関係の構築

一般に、ペットとの信頼関係の構築に大事なのは、日頃の行いです。

ある時だけ特別に豪華な餌をあげることや、日頃は構わないけれどたまたま手が空いた時に長時間かまってあげるといった行動よりも、日頃からきちんと締めるべきところを締め、褒めるべきところを褒めることが重要です。

また、欲求を聞いたり聞いてあげなかったりすることで、「この人は間違ったことをしたら怒ってくるんだな」「この人は自分がただ喚けば言う事を聞くという相手ではないな」と認識してくれるようになります。

これにより、構ってほしさからの無駄吠えや甘噛みといった問題行動を抑止できるようになるのです。

また、餌の時間や散歩の際も同じ時間に毎日きちんとしてあげる事で、「この時間には必ず餌をくれる」「この時間には散歩に連れていってくれる」という信頼をしてくれるようになります。

犬にとって大事なのは、規則的な、いつも変わりない日常を送れること、そしてそれを果たしてくれるのが飼い主自身であるというのを覚えておくといいでしょう。

まとめ：柴犬がしっぽを振らない事について

最後に記事のポイントをまとめたいと思います。

• 柴犬がしっぽを振らない事はそんなに珍しい事ではない。個体差もあるが、柴犬はクールな性格なのであまり振らない。そして振っていても気づきにくい。
• 柴犬のしっぽの形状は九種類。中には巻いていないのもある。
• その形状故、大きく振ることにあまり適していないが、別に振れない訳ではなく、性格上振らないだけな面もある。
• しっぽが垂れていた場合は精神的・肉体的にネガティヴな状態の為、長時間続くようなら注意が必要。
• しっぽだけでなく、表情や耳など、柴犬は全身で感情を表現してくれているので、しっぽの動きを過度に重視せず、きちんとそちらも見てあげる事が重要。
• 定期的に全身の状態をチェックし、どこかしら異常が見られた場合は適時獣医に見てもらう事で対処する。
• 柴犬のケアはグルーミング中心。シャンプーは月に一度、暑い時で二度までにしよう。ブラッシングも長時間かけず、短期決戦で効果的に。
• 柴犬との絆の構築は一日にして成らず。日々のコミュニケーションとトレーニングを通じ、散歩や餌やりなどの日常的な事から信頼関係を結んでいこう。

柴犬がしっぽを振らない理由やその背景について、理解を深めていただけたでしょうか。

柴犬の特性や性格を知ることで、愛犬とのコミュニケーションもさらに円滑になるはずです。

しっぽの動きだけでなく、表情や行動を総合的に観察し、柴犬との絆をより一層深めてください。

愛犬が幸せで健康に過ごせるよう、日々のケアと愛情を大切にしていきましょう。

※記事内の画像はイメージです。